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2007/08/19

五高での講義

070818_123701面接授業では、体力も勝負なのだ。とくに二日目には栄養を十分取って備えることにしている。朝食は宿舎のバイキングでたっぷりとり、バスで学習センターへ。

熊本学習センターのある熊本大学の黒髪キャンパスには、旧制中学時代の赤レンガの本館(1889年竣工)が残っていて、それが五高記念館になっている。なかには、当時の教室が復元されていて、夏目漱石(1896年着任)、ラフカディオ・ハーン(1891年着任)などが教壇に立ったころを偲ぶことができる。

このような学問的な雰囲気の残っているところで講義を担当できるのは、光栄の至りであるが、それにしてもやはり赤いレンガの校門(これも重要文化財らしい)をくぐるころには、汗が噴き出してくる。今日もそうとうな暑さだ。

午前中には、昨日宿題に出した課題についてグループ討論を行った。今日のテーマは、「組織における経済」なので、ちょうど組織的な決定の事例について、身をもって経験してもらうことにもなる。

ときどき講義のなかで、わざと意味の取りづらい、けれども、きわめて重要なテーマを出して、学生の反応を見ることにしている。一般の大学であれば、そのような課題を出すとただちに質問の山が築かれることになり、レポートに取り掛かるまでに時間がかかってしまうのだが、放送大学の学生の異なるところは、その辺の割りきりが極めて経験的である点だ。

ひとりの学生は、「先生は先生として意見があるだろうから、ひとまず自分たちの意見をまとめておけばよいのではないか」という。社会科学という学問では、正解のない場面が多いことを理解していて、それへの諦めがわかっている。なおかつ、真理を求めようとする姿勢を崩さない。このような思い切りの良さは、たぶん他大学の学生にはまねできない点であり、経験的な生活のなかで身につけてきた機転だと思われる。

ほかの女性の学生が、4月に入学したばかりで、レポートを書くのが初めてなのですが・・・。と言ってくるのだが、じつはレポート以外の文章はかなり書きなれている人が多い。その証拠として、こちらが言うことの範囲をある程度予想しながら、質問してくることが多いのだ。そして、実際にレポートの結果を見ると、起承転結がしっかりしているのだ。

いつものように質問をとった後、定刻どおりに、計画した講義を終え、学生の方の拍手で終了となる。質問のある学生は残り、三々五々帰っていく。ひとりの方は、来年熊本から東京のお子さんのところに引っ越してくるそうだ。そして、幕張の図書館へ通いたいのだとおっしゃる。日本中、どこにいても勉強できる、という時代を迎えつつあるのだ。

さて、レポートの採点も済まし、採点表を付けると、今晩の食事を考えなければならない。今日も事務長にお聞きして、ひとりでもゆったり食事のできる店を探す。すぐに昨日とは趣きの異なる「∞」という店を紹介してくださった。

熊本の繁華街には、下通りと上通りがある。かつては下通りが栄えていたらしいが、最近上通りの裏道が盛っているのだという。教えられた店へ行くと、表から見た限りは大勢で押しかけるような居酒屋風だったので、敬遠して一度は通りすぎた。けれど、ひとりの席があるかどうかだけでも聞いてみようと思い、店にはいる。玄関で、すぐに馴染む雰囲気があった。

Niwa ひとりの席もありますよ、という。入り口のカウンターと、庭に面したところと、どちらがいいですか、というので、外庭を選ぶ。

つまりは、人と人の結びつきは、相互作用の産物だということだ。もちろん、ビジネスにはビジネスの相互作用のやり方があるように、居酒屋には居酒屋の相互作用の流儀があって、それがその場所に上手くあっているかどうかが問題なのだ。

この店の場合、昭和初期風の人家を改造して、居心地の良さを演出しているばかりでなく、入り口の対応にはそれなりの応対を配置し、さらに接客には接客に手慣れた従業員を配置している。店全体の一貫性を感じた。

Ram団扇を片手に、今日もやはり焼酎を頼む。鳥飼というフルーティな銘柄をいただく。シーフードサラダに、刺身がいっぱい入っていて、美味しかった。最後に、クリーム状のプリンをデザートにとって、店を出る。その席の係りの人に聞いた、地元系のコーヒー屋「RAM」という店で、今日最後の一杯を飲む。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。