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2007/07/23

夏休みの怖い話

夏休み前になると、町内の子ども会が開かれ、休みの計画が立てられた。街ごとにひとつある小さな公民館に集まって、夏祭りの準備が進められ、ついでに子ども会の予算や組織の話し合いが行われた。

信州松本に住んでいるときに、「青山さま・ぼんぼん」という子どもが各戸を回る夏祭りがあって、青山さまが神輿を担ぐ男子の祭りで、祖先を祭るものであり、ぼんぼんは女子の祭りで、祖先を慰めるものであった。小学生1年生から6年生までが中心となって、運営されていたのが懐かしく思い出される。

このような公式的な表の祭りに付随して、重要だったのは非公式の触れ合いだったと、今にして思う。

恒例だったのは、「怪談」である。お岩さんや、皿屋敷の「一枚、二枚・・・」は子ども会の教養の重要な項目であった。ちょうど小学校の校門交差点に文房具屋があって、そのよこに墓へ通ずる道があり、墓のなかを通って、カキ氷屋さんの裏へ抜けるのが通学路であった。

水色の矢車草が咲き乱れる墓場で、伝説を作り出すには格好の場所だった。河童についてはまた出てくることもあろうが、やはりお化けは子ども会の面々にとってはかなり怖い存在だった。

昨日、娘が下宿を引き上げる際に、当時を思い出すような、怖い話を持ってきた。じつは、娘が下宿に出るときに、お餞別として紺の水玉模様の傘を送っていた。それを飲み会があったときに、紛失してしまったらしい。

かなり気に入っていた傘なので、帰りの道々、駅に問い合わせたり、友人に携帯電話で照会しながら、下宿へ帰ってきたのだという。そのときの声が誰かに聞かれたのかもしれない、と後で言う。

酔っ払ってしまっていたので、ロフトに上がりこんでそのまま眠り込んでしまったらしい。ガチャという音で目覚めた。戸締りを忘れたのだ。これはマズイと思って、携帯で110を打ち込んで身構えたのだそうだ。

ところが、そのあとコトっと再び音がしてからは、まったく人気がなくなり静かになったらしい。あわてて鍵を閉めて、朝までぐっすり(ふつうは眠れないと思うが)眠ったそうである。

しばらく日にちがたって、玄関に見慣れない傘が立てられているのに気づいたということだ。友人が1週間前に来ていたので、置き忘れたのだと考えていたらしい。けれども、聞いてみたが、そんなことはないと言う。

それ以外には、他の人が下宿に上がっていないので、「ガチャ、コト」のときしかないのだと思い当たったのだという。これは、すごく怖い話かもしれない。

まともに考えれば、誰かが部屋を間違えて入ってきてしまい、途中で気がつき、あわてて外へ出て、傘を忘れていったということではないだろうか。

けれども、子ども会では、このような話を脚色して、いかに怖い話にするのかが競われるのだ。そういえば、6年生のお姉さんにとびっきり、こんな話のうまい人がいたな。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。