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2007/07/26

珍しいお客さん

珍しい客が神奈川学習センターの研究室のドアから、ぬっと現れた。

放送大学創業時の神奈川学習センター総務係長だったⅠさんである。ちょっと歳をとった感じはするが、長身でテニス焼けした活動的な印象はそのまま保っていらっしゃった。

当時、M先生が所長をしていて、T先生、H先生、それからお茶の水女子大へ移ったT先生とわたし、そして、職員の方がいらっしゃったのだ。

最初、隣の横浜国大中学校の校舎を借りて、準備を行っていた。この期間には、いまの神奈川学習センターの建物が間に合うかどうか、という状態であったのだが、Ⅰさんや教務係長のUさんたちの奮闘で、どうにか開校に間に合ったのだ。

国大の土地が広々としていて、草が茫々と生えていたのが印象的だった。まだ、桜の季節ではなかったときに訪れたので、今のような4月の華やかさはまだなかったような気がする。

向かいに商業高校の校舎が残っていて、とくにそのなかでも半円形教室が在って、そこが満員になるなか、スクーリング講義を行った覚えがある。いまは、その建物の風格だけをまねた健康センターが新しく建っていて、昔の状態が何となく残っているのだ。半円形の教室は、いまはダンス教室の会場となって賑わっている。

20数年も経ってしまったのか、と改めて感ずるが、本人たちの会話は当時のままである。その後、Ⅰさんは横浜国大へ戻り、出世を重ねて、今は退職してテニス三昧の日々だそうだ。

神奈川学習センターもⅠさんたちのネットワークの中で育ってきたのだ、と改めて振り返ったしだいである。

明日から、この学習センターでは、学期末試験だ。帰りに玄関へ行くと、4、5年前に玄人はだしの「中世の切符(きりふ)」についての論文を仕上げた学生の方に久しぶりに会う。

良く知られているように、近世には信用貨幣として「山田羽書」が現れ、続いて藩札などが造られ、日本における紙幣の歴史が始まったとされる。ところが、そんなことはないのであって、おそらく「信用」というものの歴史はずっと遡ることができるだろうと思われる。

たとえば、「割符」などの研究は、日銀や中世歴史の学界を中心にして、今日かなり進んでいるらしい。(教養が試されるのはこのようなときかもしれない。「わりふ」と言ったら、その学生にすぐ「さいふ」と訂正されてしまった・・・。)シンポジュウムなどもインターネットに載っているくらい、一般にも膾炙している。

わたしたち素人が知りたいのは、これらの信用を支えていたのは、どのような信頼関係だったのか、という点である。政治権力なのか、それとも民間の商人たちだったのか、という点である。

そして、割符の時代から羽書の時代の断絶と継続には、どのような関連があるのか、ということである。つまりは、「手形」ということがキイポイントになるのだ。手形に信用を与えれば立派な貨幣になるのだ。それでは、なぜ近世になると、手形と貨幣は分離するようになったのか。

などなど疑問は尽きない。しばらくは、中世の貨幣論論争から目を離せない。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。