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2007/06/30

「肉付け」か「仮縫い」か

大きく膨らませようとすると、無駄が目立ってしまうし、最小限に止めようとするとしっかりとした構想が必要とされる。

今日は、卒業研究のゼミナールが東京の茗荷谷で開かれた。上記は何のことかと思われるかもしれないが、学部学生の卒業論文もそろそろ「肉付け」の段階を迎えているという話だ。

忙しい時間をぬって、学生の方がたも駆けつけてくる。材料が豊富に揃ってきたので、報告も時間通りには進まない。1時に始まって、結局6時前までかかってしまった。1階会議室では、M先生のゼミが行われていたようだったが、やはり同じころに部屋からどっと出てきたから、同じような状況だったと思われる。

さて、問題は肉付けに値する「骨格」ができているのか、という点である。わたしなどは、この辺をいつも曖昧なまま書き進めてしまって、あとで手痛い目にいつも遭うのだが。

Kさんは、「仮縫い」の段階ですね、という。なるほど、すこし余裕を持って、型紙に当てて、針で留めておくくらいの気分で、文章を膨らませることができていけば、この6月から7月の段階では上出来だ。修正に十分時間を当てることが可能だ。

もちろん、多くの方は、問題提起と資料整理で汲々としていて、なかなか余裕が無いところだが、やはり放送大学の学生の方がほかの大学生と異なるのは、「仮縫い」という言葉がすぐにでてきて、自分の現状を自覚していることだろう。もっとも、自覚していることと、それをうまく解決できていることとは別問題であるところが、たいへん辛いところだが。

肉付けで必要なのは、骨格を完全に掌握して、議論の幅を広げることができるかどうか、というところだ。例示ができたり、復唱できたり、レトリックを使ったりする余裕が問われるのだ。花の咲いたあと、急速に木々に緑の葉っぱが目立ち、林全体が大きくなって、風で揺れても、それが全体の律動となって、量感がわかるようになる。

あまりに、肉付けばかりに集中してしまい、当初の骨格を崩してしまっていることに気付くこともしばしばある。そうなる前に、骨格を再確認して、仮縫いをしっかり行うことが大切だと思われる。

そういえば、肉付けが極端に上手い先輩がいた。ちょっとしたモチーフがあると、一晩で400字詰め原稿用紙50枚ほどを埋めてしまうのだ。そうかといえば、ほかの先生で、あまりに書きすぎると筆が荒れる、といって、肉付けが進んでいてもなかなか書かなかった方もいる。それでも、ほぼ肉付けの段階で、ボリュームが決まり、全体の分量は仮縫い時の裁断によって決定されるといってよいだろう。

この時期に、面白いように、根に茎がつきさらに枝葉に育つように、文章が出てくれば、肉付けの段階に入ったといってよいと思う。今日会った卒研生たちの何人かは、確実にその時期を迎えつつあるようだ。

来月は気分一新して、場所を変えてゼミナールを開こうということになっている。帰りに、いつも寄る中国茶の喫茶店へ行ったが、残念ながら今日で閉店ということだった。また、静かに話せる店がなくなる。今日の最後は、結局ファミリーレストランに座席を占めて、皆さん「あんみつ」を食べつつ、お開きとなった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。