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2007/05/04

輸送について

Container連休中に読んだ本のなかで、一番だったのは、「The Box」という原題をもつマ ルク・レビンソン著『コンテナ物語』だ。

「ものを運ぶこと」は、中間段階の生産過程の問題である。流通問題であることは確かだが、今日の世界では「生産」に対して最も深刻に影響を与えている。「ものを運ぶ」ことそれ自体が、体系をもったひとつの「システム」だと主張している。

最初のところで面白かったのは、ふつう船には全体としてどのくらいの品物が積み込まれているのか、という問いかけである。

コンテナ船が出現する前の段階で、「ウォーリア号」という5千トンの船では、約19万個の荷物が積まれ、全米151都市から集荷されて、その品物の発送人だけでも、1156人が関係しているそうである。こんなに多種類で、雑然として整理不能な集合物が船の積荷の正体だったのだ

この19万個の荷物をそれぞれひとつずつ扱っていたら、それは流れる川の水をペットボトルに入れなおして運ぶような非効率な流通でしかないだろう。このペットボトルをひとつずつ運ぶのではなく、「box」に入れて運ぶことで、いわゆる「規模の経済」(大きく括ることで単価が安くなる効果)が発生し、運搬コストが驚くほど低下するのだと考えられている。

この本の例では、1トン当たり5.83ドルだったコスト(船賃)が、トン当たり0.158ドルにまで下げることが可能となったということである。コンテナという社会技術の経費削減(ダウンサイジング)効果は抜群である。

そして、この本の楽しく読める点は、マルコム・マクリーンという破天荒な企業家に焦点を結んで記していることにある。先行投資ということの醍醐味を味わわせてくれるのだ。

すこし不満が残るのは、たしかに削減効果が抜群であることはわかるのだが、なぜ「箱詰め」するだけで、こんな効果が生ずるのかについて、根本的な原因が書かれていないことだ。コンテナが巨大であればあるほど、効果がより上がるかといえば、そういうわけでもない。「規模の経済」は表面的な理由でしかないのだ。じつはここが、ほんとうのところ面白いのではないかと思った。続編に回してしまったのだろうか。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。