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2007/03/11

ポスター展

明治・大正期を中心とした「ポスター展」が催されているというので、居ても立ってもいられずに、姫路まで飛んできてしまった。うわさに違わず、用意周到に集められた充実した展覧会であった。

問題は、なぜ大正期に商業ポスターが日本で一気に出回るようになったのか、ということである。消費文化論を守備範囲にしているものにとっては、かなり刺激的な問題提起である。

主として、1911年から20年ごろまでが、キイポイントになるようだ。それでは、なぜ流行るようになったのか。

第一に、技術的な点であるが、この時期に石版が発達し、後にそれに加えて、写真製版の技術がかなり進んだこと。第二に、宣伝効果の著しい企業(ビール、百貨店など)が急速に伸びたこと。第三に、ポスター作家と呼ばれるような専門の画家が数多く世に出たからである。

ポスターを企業内で描く専門の人びとが現れるようになったことは大きかったと思われる。1911年には、三越の改装記念でポスターの一般公募があり、そのなからも、優秀で独創的なポスター作家が現れるようになった。

このようなイベント的な人間関係が形成できるかが、ポスターの腕の見せ所である。

展覧会のなかで印象に残ったポスターは、初期に見られた「暦の入った実用的なポスター」「百貨店ポスターで杉浦非水のもの」カルピスの「初恋の味ポスター(外国に募集を掛けたものだったらしい)」などである。

とくに懐かしいのは、いぜんわたしの教科書でも掲載させていただいた1922年「寿屋の赤玉ポートワイン」ポスターである。黒い色調の中から、日本的な美女がワインを突き出している。ワインだけが赤く輝いている。広告の原点が率直に語られている。(このポスターには、セピア版とグリーン版があることが、クレジットされていた。今回のものはグリーン版)

姫路には、城をはじめ、多くの見るべきものが多くあるにもかかわらず、このポスター展をじっくりみると、これだけで十分満腹の気分になってしまった。時間も思いのほか、かなりかかってしまった。

帰ってから、いろいろの人にこの展覧会を推薦しているが、やはり目を輝かせて話に乗ってくるのは、印刷屋さんや、プリント関係の方だった。石版プリントのプロセスも展示されていたが、これを仕事でやりだしたら、確かに没入してしまうだろうな。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。