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2007/03/07

傘寿

母が80歳になった。傘寿のお祝いということになるので、久しぶりで皆で、東京に集まることになった。ビルの35階にある和食の店で、ささやかな昼食を取った。

量はいらないという希望だったので、会席を取ることにした。美味しかったのは、先日銚子でも注文した平目の刺身、それと石焼の蛸とイカ。すこし焦げ目ができたところがとくに美味である。

「もてなし」という風習は、「見せびらかしの消費」に分類されると思われるものであるが、そのなかでは「品格」が感じられ、密着した「ラブリィ」な感じがする。日ごろ疎遠となっていた家族が、もてなしによって結び付けられるのは良いことである。

もっとも、もてなしが結ぶ人間関係にも二種類あると思われる。これは、他の方に聞いたのだが、地域によっては、家族で還暦や喜寿や傘寿を祝うという「もてなし」以外にも、本来の意味を込めて、もうすこし家族を広げた親族や、コミュニティを主眼とする「もてなし」があるようだ。

広い関係のもてなしになってくると、定型が発達し、話してくださった方の地域では、餅と料理の重箱が振舞われるそうである。そうなってくると、人数も多くなってくるから、誕生日のお祝いといってもたいへんな準備が必要になる。

さて、わたしたちの会席は幸いなことに、前者の狭い範囲のもてなしであるから、気の置けない話が続いた。

今回、皆、過去への探検を行い始めたのだ。不思議なもので、すぐに時間がすこし戻ったような感覚になる。じつは、うちの場合、家族のなかで、記憶の良い人と悪い人とがはっきりと分かれる。

たとえば、母の還暦をどこで行ったのか、という話題では、わたしの場合思い出すまでにすこし時間がかかってしまう。これに対して、記憶力のよいのが妻で、すぐに店を指摘したのだ。

通常の誕生日だと、個人的な記憶に終始するが、やはり傘寿のような会では、皆の記憶を呼び起こすような話題が湧いて来る。還暦や傘寿は、あまり頻繁に行われるわけではないから、家族にとっては貴重な時間を構成しており、家族の歴史の道しるべとでもいえるものだと思う。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。