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2007/03/23

学位授与

阪大の学位授与式に出席した。博士の学位をいただいたのだ。

わたしたちの世代は、70年代の大学紛争のあおりを受けて、学部のときには東大入試がなかったという影響をうけたし、さらに東大の大学院では博士論文審査の体制が壊れていたという影響を被った。

だからといって、ここで被害を受けたという恨みがましいことを言いたいわけではない。むしろ、その体制から自由であったことを今では喜んでいる。

けれども、外国へ行った同期の人たちは、その地で苦労して、Ph.Dを取ったりしているのに対して、日本の大学院に残った多くの同期生は、課程終了時には、博士号をとった人は(統計や経営は別にして、経済学分野では)一人もいなかった。

それに多くの文科系の大学では、就職してしまえば、博士号はほぼ必要ない。このような事情もあって、わたしの場合も博士は課程修了という状態で、論文を書いての修了は行っていなかったのだ。

書いてみると、そのプロセスも含めて、博士論文という制度はかなり良い制度だと実感できた。執筆の緊張感が通常の論文執筆よりもあり、また書き終わってからも、審査員がじっくり読んでくださって、意外に楽しい作業となったのを覚えている。

今日の阪大での学位授与式では、研究科によっては、100名を超えるような博士を量産する大学院もあって、今日の博士号の意味もかなり変わってきていると思われる。70年代と違って、博士課程を修了すれば、博士号を持つのが当たりまえになっている。

それでは今日、なぜ博士論文を書くのか。何のために、博士号をとるのか。資格を取るという形式的な理由以外に、やはり博士論文の実質的な意味があるのだと思われる。

さて、式典が終了して、学位記を受け取りに行こうとしていたら、「放送大学のS先生じゃないですか」と子どもとご主人同伴のかたに話しかけられた。放送大学を卒業して、大阪大学の大学院に進み、今春みごとに学位を取ったということである。

学生と先生が他の大学で、同期として学位をいただくという、放送大学ならではの風景である、と思った。

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コメント

 こんにちは。わたしは本学で選科履修生として学んでいる者です(何年か前まで神奈川センターで開かれていた弘明寺ワークショップでは、オブザーバーとして出させていたゞいていました)。長いこと神奈川センターで学んできた身として、坂井先生がふたたび神奈川センターにお戻りになることをうれしく思っております。
 さてこの度は、博士号をお取りになったとのこと、まことにおめでとうございます。わたしとしては(近いうちに出されるご著書とともに)ぜひその論文を拝読いたしたいところですけれども、博士論文そのものは一般に公開されず、せいぜいそのサマリーしか見られないという話をどこかで聞いたこともございますので、折を見て国会図書館にでも参るしかないのかなと考えています。もっともそれ以前に、わたしなどが読んでわかるかどうかという問題もありますが……。
 実を言いますとわたしも22日、坂井先生と同じようなものに出てまいりました。同じようなものとはいっても、先生でいらっしゃる坂井先生にとっての意味と、一選科履修生にすぎないわたしにとっての意味とはおのずと異なってくることでしょう。それでもくしくも先生と同じころに同じような体験をしたというのは、わたしにとっては大へんうれしいことでした。

槙様

コメントをありがとうございました。

同じく学位をいただいたとのことでおめでとうございました。じつは、先日長い出張に出ていたのですが、帰ってみますと、弘明寺ワークショップで一緒でしたF氏(F氏でわかると思いますが)から、博士論文が届いていました。

この欄で紹介したKさん、F氏、そして槙氏とわたしが、同時期に学位をいただくとは、やはり縁があるのでしょうか。

そういえば、同じく弘明寺ワークショップに出席していらしたH氏も今期放送大学の修士課程をめでたく終えられました。

皆さん、ほんとうに、おめでとう!!

坂井素思

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。