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2007/02/04

旅の楽しさ

帰りの新幹線のなかで、居眠りをして起きると、こちらをじっと見つめる女性たちに気づく。まさかとは思ったが、知り合いでもいるのかと思い視線を返した。けれど、そのなかに見覚えのある顔はなかった。

そうこうしているうちに、列車は浜松から静岡をすぎていく。そのご、30分ほどに渡ってこちらを向いて、なにやら話している。こちらも、仕事を抱えていて、必死になって片付けていたので、途中忘れていた。

そして、トンネルを抜け、視界がぱっと開けると、ぱちぱちと拍手と歓声が起こった。富士山を探していたのだった。目の前に想像の三倍もあるような三角錐の巨大な塊と、広々とした裾野が広がる。改めて眺めてみると、やっぱり壮観な風景である。

それにしても、なんと地理感のない人たちだ。静岡の前から、富士山が見えると考えるだろうか。けれど、旅を楽しむ無邪気さに免じて、旅のマナーの悪さは無罪放免とすることにした。

旅の楽しさは何かと問うならば、景色の良さはトップに来るだろう。富士山を待ち望んで、感激のあまり拍手をするのは、旅の本質である。そして、一緒に感激してくれる仲間と一緒に旅をすることも、また旅の楽しさのひとつである。

老年期を向かえ、女性同士で旅をする人びとが多いと聞く。まさに、こちらを伺っていた人たちは、そのグループなのだ。3人以上で旅をしているらしい。たいへんリラックスしていらっしゃる。

こちらをじっと見ていたお返しに、すこし彼女らを観察することにした。リラックスの質が違う。およそ動作は、上品な女性たちなのだが、靴を脱いで、素足になって座席に座っている。

そして、会話の中心は、旅のおみやげのことらしかった。3人で手分けして、封筒にそのおみやげを詰めて、宛名を書いて封をしている。共通の友への贈り物らしい。このような協力し合いながら、旅を続けることも旅の楽しさなのだ。

かといって、この3人以上の人たちは、いつも一緒のことをしているわけではない。それ以外の時には、雑誌を読んだり、パンフレットを開いてみたり、手紙を書いたり思い思いの手仕事をしていて、それぞれ自由である。

このような気の置けない自由な時間を過ごすことができることが、最も旅を楽しむ極意ではないだろうか。富士山への拍手が新幹線の旅で起こるとは思わなかった。と同時に、男性集団には見られない良い点があって、うらやましくもあったのは、正直なところだ。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。