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2007/01/01

年初めの習慣

年の初めに行われる、家の慣わし、習慣というものがあって、それが意外に異なっていることに気づいたのは、ようやく大人になってからである。ふつうさまざまな地域を遍歴しているうちに気づくのだろうが、結婚をして、異なる家を構えたときにそれがわかった。空気みたいな大切なものに気づくのが、昔から苦手だった。

うちは、どうみても商家の習慣である。元旦の朝の挨拶のときに、お茶を飲むのだが、そのときに「栗と柿」がでる。「繰り回しよく、掻き取る」という意味だと教えられた。

つまり、「金銭などの都合をつけて、やりくりし、全体から利益をかき集めてくる」ことを祈念するのだ。ビジネスの極意がこめられ、年初の挨拶としてはたいへん洒落ていると思っている。もちろん、金銭文化の賜物ではあるのだが、それ以外のところでも教えられるところ大である。

この習慣は、母方から伝わった。母の父は材木を営んでいたから、そのころの風習が定着したものと考えられる。もっとも、祖父は「栗」がうまくいかず、最後は「柿」取られてしまって、破産に追い込まれてしまったのだが。

「栗と柿」を食べながら、小さな歳の順に今年の抱負を述べていくのだ。「今年は字をきれいに書く」とか「いつも手を洗う」とか、小さなころ思いつくことは、可愛いものが多かった。

このことで飛躍するのは、人生の岐路に立ったときである。家を出るとき、就職のとき、そして今でも覚えているのが、結婚のときに、この機会を利用した。習慣は、ときに習慣を破る契機を用意するものだ。

夕方には、妹夫婦がきて、カード・ゲームを楽しんだ。そのときの雑談で、思い出したことである。さて、今年の抱負は・・・・・・・。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。