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2007/01/08

ロードムービーについて

いくつか走っている原稿書きのひとつが片付いたので、ようやく本年はじめての映画鑑賞にくり出すことになった。

映画「リトル・ミス・サンシャイン」は、典型的なロードムービーで、家族が娘のミスコン出場のために、珍道中を繰り広げる映画だ。興味深く見た点は、家族の人びとがそれぞれ皆「個性的で」「奇妙な性格(病気)」を持っているという設定である。これをどのように演ずるかが見ものだった。

内容を言ってしまうのは気がひけるが、ひとつだけいうと、「息子はニーチェ好きで、無言行を自分に課していて、メモ帖で言葉を伝達する」という設定は、たいへん面白かった。メモに書かれる言葉は、感情的で、かえって言いたいことが強調されて表現されるのだ。おじいさんが亡くなったときに、陰でこっそりメモして、妹に「母をハグしてやれ」と伝えるシーンは、これを描きたいために、この設定をしたなと思わせるほど効果的な演出だった。

ポンコツの故障だらけのミニ・バスは、とうぜん家族の隠喩であり、動かなくなったバスをみんなで押して動かすシーンがたびたび出てくるのが、この映画の基底を形成しており、とかく飛び跳ねてしまいそうな映像を落ち着かせる役割を持っていた。

結末に不満があるわけではない。十分期待を裏切ってくれて、魅力的ではあるが、この家族がどうなるのかについて、一言示唆をしてくれればすこしは安心して家路につけたと思われる。ひとりひとりがこのままでは、かなり不安だな。見終わっての昇華の度合いが少ないことが唯一気になったことである。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。