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2006/12/01

横浜に住んで

横浜に住んでよかったな、と思えることがある。

先日、長崎に住んでいた人と話していて、横浜なら霧笛が聞こえるでしょう、と尋ねられた。へえー、ほかの街でも、霧笛に思い出のある人がいるんだ、とすぐに意気投合してしまった。

徹夜して明け方になって、この霧笛が聞こえると、ただボーと、仕事の手を休めてしまう。これは前にも書いたことだが、死ぬほどの(ちょっと大げさかな)苦しみをもった後でも、ああ今日も一日が始まる、世の中は動いているんだな、と霧笛がわたしの感情を揺さぶるのだ。

一日中、霧笛は聞こえているはずなのだが、しかし特定の、このような深夜や寝静まったとき、あるいは明け方にしか、わたしの耳が聴こうとしないのだ。

霧笛は、外界の出来事が、自分の世界に入ってくる、ひとつのメディア的なシンボルだと思う。自分の意識は、いつもはかなり閉鎖的で、外界のことなど気にも留めていないのだ。それが、霧笛を通じて、すっと自分の世界へ入り込んでくるのだ。

自分の世界がこれほど閉鎖的なものである、という自覚を持つまでに、数十年かかってしまったが、この閉鎖性を意識するようになってから、はじめて開放する手段が見えるようになってきたような気がする。

その意味で、霧笛はわたしのなかでは、内と外の世界を結ぶものの原型のようなものなのである。おそらく、横浜に住んでいなければ、このことに気づかなかったような気がする。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。