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2006/11/10

金魚鉢の世界

ラジオの収録を2本行った。

放送大学には、ラジオ・スタジオがRAスタジオとRBスタジオのふたつある。これは偶然だと思われるが、これまでわたしのラジオ収録は、RAスタジオでのものが圧倒的に多かった。

この二つのスタジオのどこが異なるかと言えば、大きさである。RAは、10人ぐらいはゆったりと入れるようなスタジオであるのに対して、RBはほぼ2人用のスタジオである。

どちらが好きかと言えば、やはりこれまで慣れ親しんだRAスタジオかもしれない。広い分だけスタジオ特有のしんとした静けさが、奥深く感ずるからだ。

今日はどうゆうわけか、RBスタジオだった。金魚鉢に入った途端に、閉所恐怖症になりそうである。身体全体がしんとするのではなく、ヘッドフォンを付けたような、身動きできない閉塞感がある。

もちろん、好みの問題はあるが、しかし、録音が始まってしまえば、こちらのものだ。自分の声が壁に吸収されていき、反響がない分だけ、自分の世界をさらに前へ推し進めなければ、存在自体が吸い込まれそうになってくる。

昔、ピアノのグレン・グールドが人前でコンサート活動を行わずに、もっぱらスタジオ録音を追究するようになったとき、おそらくスタジオでの自分の表出に何かを見いだしたのだと思う。(グールドに比べるのはすこしおこがましいが)その感触はすごくよく分かる。声に出して、自分の考えを表に出すという感触は、頭のなかで考えていたときとすこし異なるのだ。

金魚鉢の世界は、常日頃の自分とは異なる自分と向き合わせてくれる、特別な世界なのだ。今日も、しゃべっていて、いつもと異なる自分を発見することができた。この感覚はわたしの場合ラジオ特有のものであるというのが、いつも不思議だなと思っていることなのである。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。