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2006/11/18

トンガ王国の反乱

16日から今日にかけて、トンガ王国の反乱がマスコミで報ぜられていた。電力会社への焼き討ちでは、死者が数人出た様子である。

国会議員の定数が30で、そのうち普通選挙で選ばれる国民議員は、9人しかいない。ポリネシア特有のチーフ(首長)制が最後まで残ったのが、トンガ王国だと解釈できるだろう。

今から20数年前に、じつはトンガ王国へJICA(国際協力事業団)から派遣され、滞在したことがある。1ヶ月ほど、首都ヌクアロファの中心地、王宮の隣にあった財務省内に、事務所を設けて国内を調査して歩いた。今回焼き討ちにあった電力会社へも取材に行った記憶がある。

Dateline Hotelという、つまり、日付け変更線がその上を通っているホテルで、やしの実のジュースを飲みながら、報告書を書いた思い出がある。もう時効だと思うので言ってしまうが、同僚のなかには、トンガの女性とほんとうの(というのも変な言い方だが)恋愛関係に陥ってしまい、日本へ帰ってきてからも交際していた人も出るほど、ドラマチックな日々が続いたのだ。

もしそのころのトンガを描くとしたら、おそらくトンガ貴族・エリートたちの抗争というドラマが展開できたであろう。当時は、王侯のラジオ放送が聞こえてきただけで、仕事を投げ出し、聴き入る国民が多かったから、民主デモなど考えることすらできなかった。

けれども、いくつか今日の暴動を予想させる要因が無かったわけではない。トンガは独立当初、完全平等主義をとって、土地を全国民に分けた。ところが、土地には限りがあるから、次から次に生まれてくる国民全員に与えられない時代が到来していた。

それから、外国人の影響がそろそろ深刻になっていた。今回、華僑に対する焼き討ちが伝えられていたが、当時からインド人と中国人の進出は、影響力を増していた。

経済を勉強するものにとってたいへん面白かったのは、財務省の隣の部屋で、貨幣発行が行われていたことである。どのようなときに、通貨供給を増大するのか、というのをつぶさに見ることができた。

たとえば、輸入の増加はふつう通貨を減らす要因になるのだが、特別な事情があって、トンガでは輸入増加に対して、通貨を増大させる政策を採っていた。お雇い外人エコノミストのニュージーランド人が自慢気に語ってくれたことである。

このような国家機密の漏洩に対しては、当然トンガ内部で問題になり、ある部局のボスから質問を受けた覚えがある。でも、いまから思えば、まだ観光客も少なく、工場もすくない、南太平洋の青く広がる、さんご礁の海を前にした夢のような王国での出来事だったのだ。

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» トンガ [世界の旅]
トンガトンガ王国(トンガおうこく)、通称トンガは、太平洋に浮かぶ島国である。サモアの南、フィジーの東にある。首都は、ヌクアロファで、トンガタプ島にある。トンガは、ラグビーが盛んなことで有名。また、日本の相撲では、トンガ出身の力士がいることもよく知られている。現国王トゥポウ4世は、ギネスブックで、「世...... [続きを読む]

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。