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2006/11/13

噺家の話

森まゆみの『円朝ざんまい』平凡社刊を妻が借りてきた。

原稿予定が滞っていて、本を読むどころではないのは、重々わかっているのだが、やはり忙しいときほど読書が進むというのも、古今東西の真理なので如何ともしがたい。

噺家については、素人でまったく知らないのだが、かつて放送大学のK先生や、I先生、S先生など、数えだすと、多くの人から、話を聞いた覚えはある。

そこで、興味の赴くままに、ちらっと『円朝ざんまい』を読ませていただく。ところが、最初のところで、ぐっと惹きこまれてしまった。

円朝が山岡鉄舟をたずねる場面がある。「そこに近所の子どもが遊んでおって、ひとつあの子らに桃太郎の話をしてやってくれ、という。円朝は名をなした噺家ですから、子ども相手に昔話とは、ムッとはきたが、腕によりをかけて桃太郎をやる。鉄舟は、いった。『おまえの話はうまい。うまいが舌で語るから話が死んでおる』『私は三つ子のころから母に毎晩、桃太郎の話を聞かされた。それでも飽きなかったのは、話が生きておったからだ』」と鉄舟に一本取られる。それから、二年やっと、「今日の話は生きておるぞ」といわれる。「役者は体なくしてはじめて名人となる。噺家は舌なくしてはじめて名人という。」円朝は、そこで「無舌居士」という号をもらう。

円朝の墓石の側面には、

               耳しひて聞き定めけり露の音

という句もあるそうだ。

娘は「格好いい」といったが、ほんとうに「枕」として「はまった」話である。これだけでも、十分読者を惹きこんでしまう。あとは、・・・読んでのお楽しみとしておこう。

妻がいうには、この本はなにかの「賞」を絶対とるとのこと。そうゆうことでもないと思うが、ほんとうのところ掛け値なしに、噺家の話と、森まゆみの語り口と、二重に楽しめる本であることは間違いない。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。