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2006/10/04

学士会館の古さ

学士会館の小会議室を久しぶりに使った。

何と言っても、立地の良さが学士会館の取り柄である。東京駅から一駅で着くし、タクシーでも便利な位置にある。

都心の真ん中で、これだけのスペースと静けさを確保できるところはそう多くはないだろう。

とりわけ良いと思われるのは、議論が許されるという雰囲気が、ビル全体に存在する点である。たとえば、ビジネスビルではこうはいかない。会議室はかなりうるさいところが多いし、無駄な話はせずに、会議は速く終わらせるのが良いとされる。効率性を追究する場所しか確保できないだろう。

もっとも、この場所にも、高等教育の拠点特有のと言おうか、帝国大学的と言おうか、「見せびらかし」と「スノッブ」の匂いがぷんぷんしていて、それが嫌いだという向きもあることは事実だが・・・。それについては目を瞑ってしまい、虚心坦懐になって利用してしまえば、この古色蒼然たる荘重な建物は、このような研究会の場としては理想的である。

さて、先日この欄でも書き込みした「交詢社」との比較を、やはりしなければならないだろう。現代のクラブというものには、(ここが難しいところだと思われるが、)ブランド性と採算性との間を揺れ動いている状況がある。

本来、ブランド性という観点からすれば、学士会館は交詢社にひけをとらないと思われるが、今日誇りということを前面に出して、これを運営の柱にしている点で、現代の交詢社は優れていると思われる。このようなブランド戦略をちゃくちゃくと進めているようにみえる。

それに対して、学士会館は、現在のところ、採算性に関心があるように見受けられる。たとえば、1階のロビーがずいぶん縮小されてしまって、建物のなかのゆとりが以前よりも無くなったような気がする。ブランド・イメージを悪くし、採算性を最優先している。

もっとも、このようなことはあるにしても、他の世界と比べれば、古い会議室の雰囲気はいまでも良い状態を保っている。今日も、話が沸騰して、2時間しか時間がなかったにもかかわらず、数日分の話ができたかのような状況をつくってくれた。このような場所は、現代にあって、やはり得難いと思う。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。