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2006/10/06

郊外のアイスクリーム屋

放送大学の現代GPプロジェクトで使わないか、と誘いを受けて、M町にある会社の説明会へ行ってきた。朝から一日中、原稿を書いていたので、ちょうど気分転換になると思っていた。

ところが、あいにくの天気で、雨は横なぐりだし、傘の骨が折れてしまったほどの強い風が吹いていた。台風が来ていたらしい。

M町は東京郊外の都市で、最近目覚ましい発展を遂げていた。電車で通ることはあっても、じっさい降りて歩いたのは初めてであった。かれこれ駅から20分あまり来ると、店もなくなり、車だけが列を成しているだけだ。

いつものとおり、喫茶店で時間を潰そうと、30分も早く着いたのは良かったが、この台風のなかで、歩き回って探すのは辛かったので、街道沿いに見つけたアイスクリーム屋さんへ、ひとまず避難した。

こんな離れたところで、どのようにして都市型のアイスクリーム屋が成り立つのかも見ておきたかったのだ。駅近くの人混みのなかにしか見たこともないチェーン店だ。女子高生がいなくとも、成り立つのだろうか。

わたしが入ったときには、こんな荒れたちょっと寒さを感じる日なので、悠長にアイスクリームを食べている客などは、当然いなかった。照明の明るさと装飾の華やかさとが、いかにもアメリカの田舎道のドライブインのような雰囲気を造っていて、異国風な感じを演出していた。老年の男がひとりでアイスクリームを食べている図はあまりにアメリカ的過ぎるかもしれない。

窓からみていると、近くに小学校と中学校があるらしく、下校途中の生徒達がたくさん見える。とすると、彼ら彼女らが、日曜日にでも親と一緒に、この店を利用する可能性は十分ある。

途中、軽自動車が乗りつけられ、なかから20代の女性二人が降りてきて、注文していた。やはり、若い女性客が中心であることは間違いないらしい。駅で帰宅途中にふらと、アイスクリーム屋に入る感覚で、帰宅途中の自動車通勤の女性達がやはりふらっと、食べに入ってくるのだ。

さて、この店に入ってきたときに、これはどうですか、とスプーンで勧められたのは、パンプキン・アイスクリームで、カボチャ特有の真黄色で粘りけのある甘さが美味しかった。なぜパンプキンなのかと一瞬思ったが、店全体がハロウィーン装飾で満ちあふれていたのでわかったのだ。先ほどの女性客達も、このパンプキン・アイスクリームを注文していた。

残念ながら、最後までマーケティング調査を行っている時間はなかった。早々に引き上げて、腰から下がびしょびしょになりながらも、目的の会社へ向かった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。