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2006/09/03

爆発物の発見法

先日亡くなった小池民男氏の『時の墓碑銘(エピタフ)』を読んでいたら、そのなかにいかにも中東らしい「生活の知恵」が描かれていた。

エルサレムでの出来事。クルド人のタクシーの運転手によれば、この国では、爆発物を見つけるのは簡単だという。

目の前にバスが止まり、乗客がぞろぞろ降りてくる。この方法なのである。

乗客に、荷物を持ってバスを降りてください、と言うだけで見つかるのだ。この国では、爆発物のことを「忘れ物」と呼ぶそうである。

このような経験を何度も何度も繰り返し行ってきているのだ。小池氏の希望は、そこに引用されたチェーホフの言葉に現われていた。

「登場人物全員が欲求不満をかかえ、幸せになりきれず、傷心のまま幕がおりる。しかし、だれもが生きのびている。」『贅沢な戦争』

追伸:この本には、魅力的な言葉がたくさん取り上げられている。目次をみて、まず飛び込んできたのは、「ラ・マンチャの男」の台詞だった。「騎士なんて三百年も前からいない。それは事実なのだ。」ドンキホーテは切り返して言う。「事実は真実の敵だ。」

わたしなら政治力もなく、たいへん慎ましいので、せいぜいのところ、「事実は真実を裏切る」くらいしか言えないだろうに。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。