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2006/09/14

ウディ・アレンの「マッチポイント」

来年度放送の授業科目『変動する社会と暮らし』の収録で、一日中がんばったので、夜になって、ウディ・アレンの映画「マッチポイント」を見に行った。

もしひとつだけセリフを取り出せと言われたら、次の言葉だろう。「モラルは問わない。犯罪を究明するだけだ。」この言葉は、終わりのころ、刑事が述べていて、この映画全体を現していると思う。結婚していて、二人の女性と同時に付き合うことをめぐって、モラル上の罪なのか、それとも犯罪にまで発展させる罪なのかが問われている。

観客は、このセリフとは裏腹に、明らかにモラルを問題として、この映画を見ているのだ。それに対して、ウディ・アレンは最後の場面で、あっさりと観客の期待を裏切り、犯罪としての罪で切り抜け、映画としての昇華に成功している。ほんのひとつのアイディアだけだけど、映画的現実を提示している。新手のピカレスクといった趣だ。

オペラ音楽の使い方も洒落ている。すべての内容がわかったわけではないが、ラ・トラビアータに始まり、そして犯罪に及ぶ場面での感情の高ぶりをあらわした曲などはほんとうに効果的であった。

前半では、いつウディ・アレン調になって、悲劇を喜劇に落としてしまうのか、はらはらさせた。けれども、おそらくご自身の経験を相当盛り込んだと思われる、全編を通じての浮気の心理描写には、見ごたえがあった。経験者に語らせよ、ということだろうか。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。