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2006/08/27

青リンゴ

妻が青リンゴを探してきてくれた。一年のリンゴ遍歴は青リンゴから始まるのだ。Apple2_1

毎年、この時期になると、信州では「祝」という種類がでる。小学校のバス旅行 で、リンゴ園へ行き、いただいた青リンゴを袖で拭いて、皮ごと食らいついた思い出は忘れられない。リンゴが好きになったきっかけであった。

リンゴの酸っぱさは、がぶりと食いつき、周りからシュワーと果汁がしみ出て、はじめて感じるのだ。青リンゴは、あまり売り物としては出荷されないので、地元の特別なところでしか、手に入らない。

小さな青リンゴにあこがれたのは、実物よりむしろ小説のなかであった。スティーブンソンの『宝島』で、船の甲板にはラム酒樽の隣に、必ずリンゴ樽が用意されていて、船に乗り込んだジム少年が食べていた。壊血病対策だと聞かされたときには、なるほどと感心した。この樽に潜んで、海賊たちの密談を聞くところが、いつも夢に出てくる。

Apple1 有名なニュートンのリンゴも、現代のまるまると太った大きなリンゴではなく、小さな青リンゴでなければならないと、昔から思っていた。米国へ行ったとき、ペンシルベニア州の山奥のドライブインで、山積みにされたバイキング・サラダ用のリンゴが、やはり小さな青リンゴだったので、積年の思いが解決されたように思った。

外国でよく振る舞われるアップルパイには、この酸っぱ目の青リンゴが合うのではないかと思う。果実の王様とよく言うが、青リンゴは果実の貴娘といったところではないだろうか。

上の写真のリンゴは、青リンゴがすこし赤味を帯びてきている「藤巻」という品種だそうだ。O市の青果物市場に出ていたものだ。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。