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2006/08/24

「多重感覚」への招待

放送大学の学生向け番組「大学の窓」をお手伝いせよ、とOアナウンサーからお声がかかり勇んで出かけた。

そこには、めくるめく楽しい世界が待っていた。いつも携わっている授業番組と異なるのは、何といって言い表したらいいのかわからないが、「多重感覚」的な世界という人間関係が展開されている、ということではないだろうか。

メイクが終われば、スタジオ入りして、あとは本番へまっしぐら。これまでチェックしてきたことを、すべて頭のなかにいれて、なおかつ、一緒に出演するアナウンサーのOさんやMさん、指示を出すディレクター、カメラマン、録音技師さんたちとのコミュニケーションを保っていかなければならない。同時に複数の感覚を研ぎ澄ませ、気を遣わなければならないのだ。

すこし大げさな言い方かもしれないが、コンピュータなら、とうに爆発しているのでは、と思わせるような状況に投げ込まれる。ひとつの場面のなかで、同時に、すべてのことを統御しなければならないのだ。

もっとも、アナウンサーをはじめ、いつも一緒にやっているスタッフは、信頼関係に支えられていて、いとも簡単に次から次へ、場面を展開していく。おそらく、かれらは、多重に感覚が働くなかでも、目と耳と口がうまく連携を行う訓練ができているのだ。多重という意識がなくとも、ふつうの感覚で仕事ができるのだ。

これに対して、単一感覚をひとつひとつ働かせるしか能のないわたしとしては、彼女たちについて行くだけで精一杯である。Oアナウンサー、Mアナウンサーとわたしとの歳の差は、あまり考えないとしても、(じっさいは、彼女たちのお父さんと、わたしは同世代であることがわかったのだが)この感覚の差には大きいものがある。

最後の「さよなら」の挨拶までを、どうやら無事撮り終えて、調整室でできあがった映像をチェックしていてわかった。調整室には、前面にテレビモニターが30台ほど並んでいる。じつはこのモニターは、ひとつの場面を機能別にそれぞれ分けて、ひとつずつの画面として表示している。ということは、ひとつの場面のなかで、それぞれ30ほどのチェックポイントが各コマごとに存在していて、これが、通常は、すべて統合的かつ感覚的に行われているのだ。この調整室のモニター群は、そのままスタッフの多重的な仕事を反映している。

テレビは連続した瞬間の芸術と言われるが、この連なった一瞬一瞬のなかにきわめて濃厚な感覚が、しかも多数の人びとの感覚が込められているのだ。

ほんの3分間の出演だが、凝縮された楽しさを味わわせていただいた。Oさん、Mさん、Tディレクターとスタッフの方々、ほんとうにありがとうございました。出演記念のストラップもいただいた。もしカットされなければ、・・・26日から放映とのことでした。Program03_03

追伸:ストラップと、それから写真もHPからいただいてしまいました。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。