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2006/07/16

花火大会がつなぐ人間関係

以前から、疑問に思っていたことがある。お祭りやカーニバルが作用を及ぼし、人びとを熱狂に巻き込み、参加意識を醸成し集団として一体化させる、とよく説明されるが、この理由については充分説明されているわけではない。社会学者のタルドによれば、超論理的な現象であると考えられるほどである。

外国から一人で来て、急に日本の祭りに参加し感動したという典型例がいくつもあることは知っているが、それはたまたま同化能力に優れた人が渡り歩いているからではないだろうか。ふつうの人が異郷の地で、その風習に染まるにはやはり時間がかかるのではないだろうか、とじつは疑っている。

今日、ゼミ合宿の帰り道で、弘明寺公園を通りかかると、港の花火大会を見ようとする人びとが鈴なりになっていた。斜面に設けられている階段には、みんなが同じ方向を眺めて並んでいる。

みんなが花火に感動しているのは間違いないが、もうすこし見ていると、一つの特徴があることに気づいた。それは、この公園に来た人たちは、みんな「連れ」だっているのだ。一人で花火をみている人はほとんどいなかった。もちろん、花火はきれいだから、ひとりで見に行く人もいるかもしれない。けれども、それは全体からすれば、少数であった。

この花火大会というお祭りは、そもそもはじめから小集団のためのものではないか、とこのとき思ったのだ。つまり花火をみるという表面的な理由のもとに、実際には家族連れ、友人同士、会社の仲間がそこで集っているのだ。花火は、視覚的な結びつきを果たすにすぎない。そこには、花火を通じた「弱い結びつき」が存在するが、実際には「連れ」を中心にした「強い結びつき」が、花火大会の本当の存在理由なのだ。という仮説は、いかがだろうか。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。