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2006/07/04

ダウンサイジングのもうひとつの文脈

昨日の続きになるかもしれない。

1980年代から90年代にかけて、リストラクチャリング、リエンジニアリング、あるいはダウンサイジングなどの横文字で表現された一連の共通する動きが、ビジネス社会のなかで流行したことがある。

一見すると、企業の合理化策のようにみえるので、その後この脈絡につながるとみられた成果主義と同様に、すっかり企業社会の悪者のイメージが定着してしまった感がある。

けれども、この問題はそう簡単に片のつくような問題ではない。1993年に出たハマーとチャンピーによる「Reengineering the Corporation(邦訳リエンジニアリング革命」では、生産性の上昇には、バラバラな仕事を統合して、少ない人数でこなすことが、現代では必要とされているとしている。「より少ない労働力で、より多くの仕事を」というモデルの誕生である。

このことは、経済学の有名なアダム・スミスによる「分業」モデルに真っ向から反対を唱えるものであった。つまり、仕事を細分化して、多くの人数を使って、流れ作業の増大を図ることが、生産性の上昇をもたらす、とするのが「分業」モデルであった。この「規模の経済」を目指すような図式とは、逆を主張しているからである。

この書物が出た後で、単なるリストラではないか、という批判が出て、このような考え方は下火になってしまった。

問題は、現在のところ、これらのどの方向性が主流となるのかは、現実の成り行きに任せられてきているところにある。実を言えば、経済の人間関係のモデルとして、分業モデルともうひとつのモデルがあることをきちんと認識すべきではないか、と考えている昨今である。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。