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2006/06/03

リラの咲く街

その土地に似合った花が、人びとの感情を結びつけることがあるのだということを知った。

札幌の朝は三日目になるが、相変わらず、底冷えがする。「リラ冷え」と言うそうである。こう言うと、寒さにも趣が出てくる。

幼い頃、たしかオルコットの少女小説で「ライラックの花の下」をいうのを読んだことがある。すこし北の田舎町の話だったと思う。その小説で、リラとライラックが同じ花であることを知ったが、実際にはこれまで咲いているところを見たことがなかった。

035 この季節、この街をちょっと歩くと、公園や並木に、この花が咲いている。街の至るところに咲いている、このリラを地元の人は、いっとき楽しむのだそうだ。

かれらが言うには、リラの咲くころ、寒暖が急に激しくなり、雨が降ったり、突然晴れたりするのだそうである。じっさい、この二、三日がそうだった。雪の札幌も良いが、それ以外ならば、この6月はほんとうに北海道らしい季節だと思う。そのなかで映える花として、リラがある。

花が季節を現わす場合、ふつう桜のように、暖かくなって花が咲くと言うように、はっきりとした、質的変化が起こった象徴として、その花が使われる場合が多い。

ところが、リラに限っては、むしろ季節が不安定になり、空模様が読めなくなる季節のシンボルとして現れる。そういえば、薄紫の小さな花が積み重なって、アジサイとフジを掛け合わせたような花で、どこか先の見えない心許なさを現わしている。

北海道が未知の世界を惹起させるように、このリラという花も、荒々しい大地のなかで、不思議さを秘めた繊細な花として現れる。北海道のもうひとつの面を、リラの花は表しているように思える。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。