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2006/06/06

家の構成と、古くからあるモノ

家族の結びつきは、その関係を媒介するようなモノに現れる。家の中で一番古くからあるものはなんだろうか。古いものには、家族の濃密な関係が染み付いているものが多い。

もちろん、個人の持ち物のなかにもかなり古くからのものがあって、家族を超えて、家族が組織される以前、つまり結婚以前のものも含まれている。これはこれで興味はあるが、人と人の結びつきという点では、あまり面白くはない。

たとえば、父のパイプや、母の着物、さらにわたしの時計、これらに加えて、小学校時代のアルバムや成績表なども、家のなかにはあって、個人の記憶を構成しており、家の構成物として立派な役割を果たしている。

これに対して、家族共通の持ち物は、かなり限定されていて、その家族の成り立ちに関係している。たとえば、わたしの家には、表面が輝くような赤茶色のテーブルがある。そんなに高価なものではないが、結婚して直後に購入したという思い出の染み付いたモノである。

時には、食卓として働いただけでなく、わたしの勉強机を兼ねた時代もあった。そして、今では時代が変わって、息子の勉強机を兼ねるときもある。

このテーブルの上に、梔子の花が鉢で置かれていたときもあった。けれど、今の季節には庭から切ってこられた、大振りのアジサイが一輪飾られている。

家族四人が座れば、ちょうど席が埋まるが、あと数年もすれば、子供たちはこの席を占めなくなるかもしれない。

こんな風に、このテーブルは、団欒の重要な構成要素として、家の真ん中を占め続け、家族の会話を見守ってきたのだ。このテーブルのつやが続く限りは、わたしの家にはまだまだ人間関係が生じ続けるだろう。テーブルの足が取れてしまわない限りは、当分食卓の役割を担い続けることだろう。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。