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2006/06/22

合唱団の懐かしさ

今月発行された雑誌「サライ」が唱歌集CDを附録につけている。全部で29曲も入っている。「むすんでひらいて」から「故郷」まで、懐かしい曲だ。

母親は本を開けないうちに、すぐ聴こうと、CDプレイヤーを出してきた。音が出始めると途端に、昔のことがよみがえってくるようだ。

この懐かしさのほとんどは、記憶が呼び起こされることから引き出されるのだ。とくに、小学校5年生から6年生にかけて、学校の合唱団に属して活動を行っていたことを思い出した。

当時、長野県松本市の源池小学校に通学しており、NHKの合唱コンクールに出るために、夏休みを返上して、練習に練習を重ねていた。

ひとりひとりはそんなに歌が上手いわけでもないのに、合唱になるときれいに聞えた。とくに、コンクールが終盤になってきて、盆地の丘の上のすごく見晴らしの良い体育館で歌っていて、盆地全体に響くような錯覚にとらわれるくらい、一生懸命に歌ったことを思い出す。緑で囲まれた盆地の上には、真っ青な空が広がっており、歌声がどこまでも響き渡っていくかのような気がしていた。

このとき、繰り返し声を張り上げた曲は、今でも忘れない。そして、一緒に歌った同期生たちの顔も忘れない。10年経ったら、みんなで会おうね、と約束し、コンクールの賞状の裏にそのことを書いたが、その後何人が集まったのだろうか。

そのなかの何人かは、高校生のときに登山中雷で打たれる事故で亡くなっているから、きっと懐かしい思い出も、もしみんなが会ったとしても半減していたと思われる。

さらに、時間が経って、かれらもどこかでこのCDを聴いて、みんなのことに思いを馳せているのだろうか。もしそうならば、このCDは記憶を媒介する働きをもった珍しい附録だといえる。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。