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2006/06/10

大学の組織

今日は、神奈川学習センターで、いつものように大学院ゼミナールを開く。

Nさんは大学の情報組織について研究している。今日行った報告のなかで、大学の意思決定について話題を提供した。

先行研究をまとめてみると、大学には二重の意思決定系統が存在するらしい、という指摘である。教員組織(教学系統)と職員組織(事務系統)という二つの系統がある。大学で生活していると、経験上あらゆるところで、このような事態と遭遇する。

大学の先生方が研究費を使おうとする、ところが事務手続き上いろいろな制限がある、というような日常的な細かなことに始まり、教授会と理事会の職務分担や経営の考え方の違いなど、多くがこのことに関係してくる。つまり、これにしたがって、情報の流れも二系統が存在し、非効率が発生するのだという問題がある。もっとも、ほかの先生がいうには、だから民主主義が機能している、という言い方にもなるのだが・・・。

そう言えば、先日の札幌でのシンポジウムが始まるまえに、非公式の「前夜祭」が開かれて、繁華街に繰り出し、夜遅くまで、楽しく談論した。そのなかで、民間企業に20年あまり勤め、現在は国立大学の先生になっている方がいらっしゃって、「民間企業と大学とどこが一番違うと思いますか?」と話題提供なさった。

その先生は、「大学では、重要案件審議での差し戻しがよく行われるが、民間企業では重要なものほど差し戻しは起こらないですよ。」とおっしゃる。たしかに、ふつうは日本社会特有の根回しが行われ、公式の場ではさすがに意見の対立が表面化することはすくない。

けれども、重要な案についての討議になると、先生組織のなかでは、企業が行うような公式的な根回しは成り立たない。しかも、教授会というところは、全員一致主義を建前としているために、結局重要であればあるほど、対立が起こりその結果、その議案は差し戻されてしまう場合がときどき起こる。

一般の企業では、社長の決めたことが社員レベルで差し戻されることは、さすがにないだろう。重要であればあるほど、当事者の責任は問われるとしても、それが差し戻され、否決されることはない。もし否決が起こるとすれば、当事者のどちらかがその企業から去るときである。

このような差し戻しが大学で起こる原因のひとつは、前述のように、意思決定が二系統あるからである。事務組織での決定が教授会で覆されることが起こってしまし、あるいは、教授会決定が事務的な判断で不可能であることが生じてしまうのだ。

情報の流れからすれば、二系統のそれぞれ内部の流れと、系統間の流れがあって、圧倒的に系統間の流れに齟齬があるということだと思われる。現在の方向は、これら二系統を統合する方向の議論が進んでいるらしい。

この議論は現在進行中であり、まだ正答はは見つかっていない。したがって、暫定的な見通ししかもてないのは言うまでもない。大学に二系統の意思決定が在ることは、これまでの経緯からすれば、理由の在ることである。だとすれば、系統間の流れをよくするような方法を見つけることが肝要ではないかとわたしには思える。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。