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2006/06/09

「クラブ」という結びつき

映画「ナイロビの蜂」が今日までだというので、久しぶりにいそいそと近くの映画館へ出かけた。

ミステリーの魅力は細部にあるというのは常識だが、この映画も細かいところにこだわっていて見応えがあった。うわさには聞いていたが、この映画の至る所で、細部を描くことで出てくる重厚さと現実感が見られる。映画でないと再現できない工夫があった。

アフリカの大地や自然描写もさることながら、スラム街や交通機関、汽車すれすれに歩く住民の描写などでは、ふつうであれば、カメラマンがむしろ避けたいと思われるほど典型的なシーンがふんだんに使われている。わたしたちには、かえって新鮮だ。

主題からはすこしはずれてしまうかもしれないが、ロンドンのクラブが出てくるところはたいへん興味深かった。(いつもずれてしまって、制作者には失礼かもしれないが、ここから始まる会話は映画全体にとっても、きわめて重要な場面だから、このはずれ方は許されるだろう。)

このクラブはおそらく外交官達の集まるクラブという設定だ。やはり、密談という名に値する会話が半分公共的な場所で行われ、それが描かれる場所としては、(今日では珍しい「女人禁制」の)クラブというところがいちばん似合う。

玄関を入ると、まず鞄を預ける。クロークとして預かるのか、それとも鞄を持ち込まないというルールがあるのか、さらに陰謀があるのかはわからなかったが、もし後者ならば、たいへん面白いのだが。

クラブは仕事の場でなく、真正のレジャーの場であるということならば、その趣旨は徹底している。クラブのなかへ入っていくと、なにか特別のサービスがあるのかと言えば、必ずしもそうではない。普通のダイニング用のレストランがあるだけである。あくまでクラブの構成要素は会員であって、ここでひそひそ話やワイワイ話ができると言うこと自体がクラブの存在理由なのだと思われる。

前書きが長くなってしまったが、来週Y先生に連れられて、日本で初期に創られた正統派クラブである「交詢社」へ行くことになっている。そこでどのような「密談」が行われるのか、今から楽しみにしている。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。