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2006/06/07

家の構成と、古くからあるモノ-その2

前日の続きで、母の家のことも考えてみた。

まず、思い浮かぶのは、エンジ色の切子ガラスでできたワインのデカンタである。父と母の結婚祝いに、祖父からいただいたものらしい。

このデカンタは我が家の祝いの席には必ず顔を出している。誕生祝などの写真には、いつも中央にでんと座っていて、忘れることができない。

事件が起こったのは、といっても大した事件ではないが、わたしの5歳の誕生日のときだ。このデカンタに赤玉ポートワイン系の甘いワインが入っていて、その部屋には大人が一人も居なかったのだ。気づいたときには、眠っていて、デカンタのワインはかなり減っていた。

家の引越しのときには、もっとも気を使う品であって、新聞紙を巻きつけて、段ボール箱に入れた記憶が何度かある。

近年、御屠蘇をストックするのに使われるようになったが、最後まで飲まれることはまれになってきた。あまりに大きすぎるために、作りすぎてしまうためだ。子供たちが家を出て、量を必要としなくなった。

今も、居間の棚に鎮座して、いつも家を見つめている。デカンタのふたは、大きな透明の入れ子になっていて、その玉の部分が何面にもカットされており、光を乱反射させ、存在感を見せている。装飾的な役割は、昔から得意とするところだ。

常に、自分が家の中心にいることを誇示している。おそらく家族がすべて失われた後にも、我が家に残るのはこの切子ガラスのデカンタに違いない。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。