« 都市との結びつき | トップページ | ホイトウ »

2006/05/14

同窓会という「結びつき」

今日は、放送大学神奈川学習センター同窓会に招かれて、「なぜ日本人はコーヒーを好きになったのか?」というテーマで話をさせていただいた。

楽しく聴いてもらったと思ったのだが、いつもより質問がすくなかった。通常たくさん飛び出して終わるのに困るのだが、今日はひとりひとりが後から個別に質問をしてきた。あいさつを兼ねているのだとわかって、文字通り久々の古巣へ戻った感じがした。

興味深かったのは、同窓会でみんなが互いにどのような話をしているのか、ということであった。反語ではなく、何が楽しくて、同窓会に来るのか、ほんとうのところを知りたかった。おそらく、同窓会での「人と人の結びつき」は、かなり話の内容に依存しているのではないか、と考えたのである。

同窓会という関係はどのようなつながり方をしているのかは、その発端を考えればすぐ分かる。大学を中心とした友人関係である、ということははっきりしている。かつて勉強を一緒にしたり、サークルを一緒に運営したりという関係が、大学の4年間だけでなく、その後も10年、20年と続いたのである。

他にもあるようならば、教えていただきたいのだが、同窓会で談論されている話の内容をそれとなく観察させていただくと、どうも三つのタイプが有るようだ。

第一に、昔話をするタイプである。かつて結んだ強い絆をさらに強化したいという願望がある。初代会長の話から始まって、今日の会長まで、その足跡を辿ることは、そのまま自分の軌跡を辿ることでもあるのだ。鉄壁の強い組織を確認し合うということは大切である。

第二に、新しい話題を提供して、新たな人間関係を模索するタイプである。つまり、前回の同窓会から、今回の同窓会までの間に新たに経験したことを報告し合うのである。仕事の話がよく話題に上るが、これなどはこの分類にはいるだろう。もちろん、自分から売り込んで自慢するのもひとつの手だが、大抵は会話の文脈が合致したときに、さりげなく、それとなくひけらかすのが、こつである。ここで、その人の人柄があらわれてしまうのだ。

第三に、上記以外にも、話題が浮かび上がって来ることがある。やはり、ここが人間関係というものの不思議なところだが、個人というものには計り知れない深い問題が存在しているのだ。20年つき合ってもわからなかったことが、突然急に目の前に現れることが起こるのだ。その人の特別な才能の話で有るときもあるし、友人の人生の話である場合もある。折々に少しずつ見えてきたことが、急にひとつのことに繋がってくるという経験が、話のなかで分かってくる。

第一と第二は、大抵予想がつくが、第三のものだけは、いつそれが姿を現わすかはほんとうにわからない。しかし、このことが同窓会という集団が組織をなし、時間をかけて続いている、あるいは続けようとしている、真の理由なのではないかと思われる。信頼性のある関係でないと、現れないことはあるのだと思う。

個人の心の奥底に存在する話題などというものは、時間をかけたつき合いのなかでしか伝えようと思わないし、伝わるとも思えない。あまり親密ではないが、しかし親しい関係の間柄としてこのような話題を話せるというのが、同窓会というところの良い点だと思う。(ちょっと微妙な言い方だが。)

別れるときには、ふたたびまた会えるという保証はない。けれども、依然として親しい関係なのである。今日も、最後の飲み会が終わり、街角で手を振って別れるときには、たとえ遠くに離れて住んでいようとも、途絶えることのない時間のなかでのつき合いというものがあって、それが話のなかで実現するという体験を改めて知ったことに、感謝した次第である。

« 都市との結びつき | トップページ | ホイトウ »

大学関係」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173786/10071404

この記事へのトラックバック一覧です: 同窓会という「結びつき」:

« 都市との結びつき | トップページ | ホイトウ »

『貨幣・勤労・代理人』(経済文明論)

  • “「貨幣・勤労・代理人」"

社会経営研究配布中

  • 2015study

社会経営ジャーナル配布中

  • 2015journal

開いている講義    「社会的協力論」

  • cooperation

「音を追究する」第13回・第14回

  • art

「多様なキャリアを考える」第2回・第3回・第4回

  • cooperation

「グローバル化と私たちの社会」第11回

  • cooperation
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

Recommend

プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。