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2006/05/16

あいさつの言葉

「お精が出ますね」という言葉は、優しくていいですな。と、今日の話はF先生から始まった。

社会と経済のカンファレンス室に姿をあらわしたN先生が、F先生にこのあいさつの言葉を投げかけたのだ。

それを受けて、T先生が、関西では「儲かりまっか」で、商業的ですな、と応じた。N先生はここぞとばかりに、東北は勤勉ですから、と強調なさる。

そのあと、仕事の話があいさつの言葉になるのは、珍しいのではないか、という議論が起こった。一般論としては、当たり障りのない話があいさつの日常会話に使われる、というのが穏当なところだと思われる。

したがって、通常は、天気の話や、健康の話が選ばれるのではないか、とT先生。

ところが、ドイツでは、天気の話はいけません。天気の話をしていた先生は、お天気屋さんと呼ばれて蔑まれていましたよ。と、N先生が言う。

N先生は欧米諸国、とりわけドイツに学んでおり、あいさつの言葉の事情に詳しい。N先生説によれば、ドイツで大学のプロフェッサーは権威を未だに持っていて、軽々しいあいさつはしないのだという。

日本のどこかの大学のように、人をじろっと眺めておいて、あいさつを無視するようなことはしないけれども、当たり障りのない話題の雑談はしないのだということである。これにはすこし偏見があるかもしれないが、ドイツの人は、無駄のない生活、シンプルなあいさつを好みそうだ、という説はいかにも説得力があるように聞こえた。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。