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2006/05/31

神田のワン・ショット・コーヒー屋

今日の社会と経済カンファレンス室には、A先生ひとりだけがいらっしゃって、Aさんの淹れたコーヒーを飲んでいるだけだった。

雑談と食事のあと、明日からの札幌で使用するために、特別に貸出していただいたパソコンを受け取ろうと、神田にある会社を訪れる。

約束まですこし時間があったので、さっそく近くの喫茶店を探して、時間をつぶすことにする。その昔、父の通っていた会社が神田にあり、どこに居ても仕事の話しか聞えてこない、活気はあるが、キチキチのビジネスの街だなと思っていたが、久しぶりに歩いてみても、その印象は変わらない。

すぐ近くに、小さな黒板が誘っていて、ビルの地下へ通ずる階段のあるコーヒー屋を見つける。階段の途中に、洋服屋さんが入っていて、なぜか「いらっしゃい」と声をかけられる。

地下二階になるのだろうか、長いカウンターと、壁際に赤い革の長いすとが置かれている、居心地の良さそうな店である。

カウンターの壁には、洋酒が並んでいたから、夕方からは、いわゆる「ワン・ショット・バー」になるのだろうが、昼は「ワン・ショット・コーヒー屋」というところだろう。

だいぶ昔、虎の門でアルバイトをしていて、事務所での仕事が飽きてくると、このようなコーヒー屋へ逃れていって、雑談に花を咲かしていた時代がある。いくら余裕のないビジネス街にも、ほんの一時間ほど息抜きできるような場所が必須である。

今日の店にも、ニ、三人連れと四人連れが、それぞれあらぬ彼方を見つめながら、雑談に興じていた。明らかに、仕事との共生として、しかし同時に、仕事から逃れる場所として、このコーヒー屋は成り立っている。

Cafe Zig Zigという店だったが、ふたたび行けと言われても、まっすぐそこに到達できるか、自信はない。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。