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2006/05/04

消費社会の健康意識

連休になって、家にずっといると足腰がすぐ痛くなってくる。いつもは意識することのない「健康」についてついつい考えてしまう。

ちょうどタイミング良く、セゾン消費社会研究会で一緒だった弘前学院大学のF君が健康観に関する論文を贈ってくれた。近年健康ブームと言われるくらい、「健康」への関心が高まっているが、社会の動きとどのような関係にあるのだろうか、というのがF君の問題意識だ。

著書『静かなる革命』で有名なイングルハートによれば、各国の価値観比較調査を行った結果、「高いレベルの脱物質主義の傾向を示す国民は、自分たちを『健康』と評価する」傾向を見せると指摘されている。ここで脱物質主義志向とは、「物の豊かさより心の豊かさやゆとりのある生活を重視する」傾向であるが、調査結果の人びとの主観的要因からみると、生活の豊かな国民は自分が健康であると考えている人が多いということがわかる。

F君の調査でもこの点は確かめられているが、それに加えて、さらに脱物質主義的傾向を示す人びとは、「野菜を多く食べる」「栄養のバランスを考えて食事をする」「食物繊維をとるようにする」「自然食品や有機野菜、無農薬野菜を食べる」などの食物摂取バランスを考える傾向を見せるし、また「充分な睡眠をとる」「規則正しい生活をする」「ストレスをためないようにする」などの正常な日常生活への意識も高いとする。

本来の脱物質主義的な傾向からすれば、もっと積極的な健康法を実践するタイプが多いようにも思われる。たとえば、ビタミン剤や栄養食品を摂ったり、スポーツをしたりウォーキングを行ったりするようなタイプである。

ところが、F君の調査で興味深い点は、このような積極的な健康法よりも、むしろバランスを考えるような穏やかな健康法のほうを、脱物質主義的な傾向の人びとはとるということである。

もちろん、国民性の違いや消費社会の枠組みの相違など、まだまだ複雑な要因が関係していると思われるので、安易な結論を出すことはできないが、健康ブームの基底には、消費社会のゆくえを揺るがすような根本的な変容が存在すると見ることができるかもしれない。

さて、消費社会の健康観への見通しは立ったが、自分の健康についてはまったくわからない。積極的・消極的健康法を含めて何も行っていないので、依然として暗澹たる日が続くのではないだろうか。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。