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2006/04/21

打ち上げ会

「コーヒー消費と日本人」というラジオ番組を作ったので、お世話になった人たちと打ち上げ会を催した。

たまたま、その話のなかで出てきた「日本最初の喫茶店」である下谷黒門町の「可否茶館」の近くが会場となった。現在はJRと地下鉄3本が重なるような上野の中心地である。

KさんもOさんも映画好きだったので、話題が盛り上がった。映画で集団を描く場面を話題にしていて、わたしがバスの乗客の話をすると、それにただちに反応して、Kさんが電車のなかでのエピソードを話した。これも映画的な物語だ。

深夜の通勤電車で、車掌さんがアナウンスを間違えて、次の駅名をいうべきところ、終点の駅名を言ってしまったそうである。それだけならば、疲れているな、で終わってしまうところだが、そのとき、なぜかみんなが顔を見合わせあって、微笑んだのだそうだ。一瞬ではあったが、都市が裂けて田舎に行ったような気分に、みんながなったのだそうである。

天使が微笑んだ、とでも言う瞬間が、個人に訪れることはよくあるが、みんなのところに降りてくることは珍しい。

Oさんはイランの映画の話で反応した。隣の席で本を読んでいて、話しかけられた主人公がその本の著者になりすますエピソードである。

虚構が虚構を生むことはよくあることである。けれども、それが長続きすることは少ない。途中で馬脚が現れるのだが、ときどき虚構が「真実」を呼び込むことがあるのだという。

都市の交通機関に乗るとみんな同じ方向を向いて、同じ目的地を目指しているのだが、現実はみんな違うことを考えている。

けれども、KさんやOさんの言うように、ときどきはみんな同じことを考える瞬間があるのかもしれない。少なくとも、いつでもその可能性はある。

結局、打ち上げ会は終電間近まで続いたが、みんなちゃんと帰れたのだろうか。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。