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2006/04/09

思い出のなかのつながり

一昨日、NHKの番組で「フォークの達人」を見た。1970年代はじめによく聴いた「カレーライス」を遠藤賢司が歌っていて、ほかの人には絶対に歌えない節回しを保持していた。フォークだとか、ロックだとか、本人達はあまり意識していないのだろう。

さて、これらは思い出である。現実には、ふたたび聴くことはなかった歌である。

ちょうど一年ほど前には、同じ頃活躍していた高田渡がなくなった。旅先で急死したのが、4月だったと思う。なのに、記憶のなかには、未だに鮮明に、彼の姿が焼き付いている。そこに実在していないにもかかわらず、かなりのリアリティをもって記憶に残っているのだ。

覚えているのは、1971年の中津川フォークジャンボリーでの姿である。もちろん、歌は印象にあったのだが、それ以上に、奥さんを連れて歩く姿に、生活のあり方が現れていた。年を取ってからの柔らかな印象はなく、生意気盛りのお兄さんという感じだったのが、いまから思えば不思議な感じだった。つまり、若い高田渡は、似合わないと言うことだ。

好印象を持ったのは、その後10年以上も経ってから、吉祥寺の街を歩いているところを見かけたときである。

すでに白いものの混じったヒゲがあり、しかも子供の手を引いてギターを片手に運んでいた。まだ歌っているのだとわかって安心した。

それから、近年になってから、時々テレビで眠りながらでも、やはり歌っていて、やっているなあと尊敬するようになった。

悠々として持続することは、やはり感動的であり、それからまさに、歌の内容が「持続」ということに似合っている。

もう少し、もっともっと生きて欲しかった。80歳になってもギターを抱えて、街を渡り歩き、同じことを繰り返して欲しかった。

このように思える歌手が日本にはどれくらいいるのだろうか。今も、かれとの(記憶上の)関係は続いているのだ。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。